近年、製造装置や生産設備などはますます機構が複雑化しており、従来メカニカル機構で構成していた部品を電動化する動きや、複雑な動作により電動部品の数もさらに増加する傾向にあります。従来アナログ制御でコントロールしていた機器は、このような制御対象の増加によりケーブルの引き回しが困難になり、かつアナログ制御では実現出来なかった高機能な制御が要求され、アナログに変わりデジタル通信による機器制御が必要とされてきています。
また、生産性を向上させる為、装置のタクトタイムは秒、またはミリ秒の単位までの短縮が求められ、制御機器間の制御周期の短縮が必要になり、ますますデジタル通信の高速化が求められています。
一方で、制御機器のコストや機能・制御性能なども、これまで以上のスピードで向上が進んでおり、製品の入れ替わりやメーカの交代などが頻繁に行われています。ユーザは制御機器に多くの品揃えを要求し、また多くのベンダの豊富な機器が接続出来ることを要求します。特に、製造装置には必ずといって良いほど、駆動する機構と、I/Oで制御する機構があり、これらの制御機器が1つのデジタル通信で実現出来ることが望まれます。
MECHATROLINKはこのような要望に充分応える事が出来るデジタル通信であり、多くのマスタコントローラの品揃えや、サーボ・インバータ・ステッピングモータなど多機種に渡る駆動機器の品揃え、またIO機器の品揃えなどが揃っており、これらの機器を同一の通信に接続することが出来ます。MECHATROLINKは、オープンなネットワークであり、協会に入会する全ての会員に技術情報が公開されています。世の中では既に775万ノード以上の製品が出荷されており、世界各地で稼動しています。
MECHATROLINK協会は、MECHATROLINK 通信の展開を推進している多くの企業からなる団体です。2019年10月時点で3324社の企業が世界中から参加しており、様々な新しい対応製品が開発されております。
MECHATROLINK協会のWEBページには一般に様々な対応製品や、MECHATROLINKに関する技術情報が公開されています。
MECHATROLINKは、100Mbpsの高速通信により、31.25 µsecからの伝送通信を実現出来ます。最大では62ノードまでの機器を接続することが出来、それぞれのノード間では完全同期した制御を実現することが出来ます。マスタ/スレーブ兼用ASICと、コストとサイズを抑えたスレーブ専用のASICに加えFPGA用IPコアが準備されており、用途によって最適なハード構成を取ることが可能になります。また、今後FPGA以外にも、各種MPUへのMECHATROLINK-Ⅲ内蔵を進め、より容易にMECHATROLINK対応できるように取り組みます。
MECHATROLINK協会は8ヶ国の世界支部の総力を上げて、ますます世界的な活動を強化してまいります。また、各種展示会への協会ブースの出展も計画しており、多くのお客様へ広くPR活動を実施していきます。
MECHATROLINKは、モーションを中心としながら幅広い製品の品揃えを持つオープンなネットワークです。
MECHATROLINKは今後もさらに多くの製品に展開され、より使い易いフィールドネットワークとして、標準的な位置付けになることを期待しています。この製品カタログをご覧になり、多くのユーザ様のお役に立てればと考えております。
2019年3月
MECHATROLINK協会
事務局代表 下畑 宏伸